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KNOWLEDGE

ドイツワインの知識

フランスやイタリアのワインと比べて、日本ではドイツワインの魅力があまり 知られていないようです。
当店のオーナーでもある国際ドイツソムリエ

コンクール上位の沼尻が、 ドイツワインの基礎知識をご紹介致します。

どうぞドイツワインの魅力に触れてみてください。

1. ドイツワインの魅力

~バラエティに富んだドイツワイン~

 

ドイツワインは一般的に、エレガントでフルーティーで低アルコールなワインが生み出されていますが、中にはアルコールが17%もあるドイツワインやバリック樽で長い間熟成させたワインなども作られています。

 

アルコールをあまり飲まない方も甘い高貴なアイスワインを飲めば、この出会いがワインを飲み始めるきっかけになるかもしれず人生をも変えるかもしれません。

 

いつもフランスのブルゴーニュ地方のワインを飲んでいる方も、

バーデン地域の最高品質な辛口のピノ・ノワールの赤ワインを飲むことにより、ドイツワインにも興味を抱くかもしれません。

 

様々な土壌や気候、ぶどうの品種などにより他の国には見られないバラエティさに富んだ様々なワインを味わえるのは、ドイツワインの魅力の一つだと思います。

~高品質なワインを生産できる条件の整った国「ドイツ」~

 

さて、ドイツには13の特定ワイン生産地域があり、ザクセン地域とザーレ・ウンストルート地域以外は主に南西、南に地域がかたまっています。ドイツは冷涼地ですが、西の温暖湿潤なメキシコ湾海流の影響を受け緯度の割には温暖なためぶどう栽培が可能になっており、近年は温暖化の影響でぶどうも完熟するようになりました。

 

ドイツのぶどう栽培は北限に位置しており、ぶどう畑は平地や丘陵地にも見られますが、川沿いや傾斜地に多くのぶどう畑が見られます。これは、傾斜地は太陽の恩恵を受け、川沿いではその近くの気候を穏やかにし、川が太陽エネルギーを吸収し日中と夜間の温度差を安定に保つためです。

 

長い夏の日照時間により、低い気温でもぶどうは完熟するまでの間にミネラル分も根から吸い上げゆっくり熟すことにより、甘みとアロマもはぐくまれていきます。

 

このようにドイツでは良いぶどう、ワインを生み出す様々な条件が整っています。

~世界の注目を浴びているドイツワイン~

 

さて、ドイツワインの白の質が高いことはすでに世界的にも多く知られていますが、 近年では温暖化の影響もあり、質の高い赤ワインも造られてきています。
例えば2008年9月のDecanter International Pinot Noir Trophy の国際的なピノノワールコンクールで9000以上もの赤ワインの中から最も質の高いピノノワール種として、アール地域のWeingut Meyer-Nakel (マヤー・ネーケル醸造所)のシュペートブルグンダー種(別名ピノ・ノワール) グローセス・ゲヴェクスが何とトップに輝きました。(HP:www.decanter.com)

また2011年のロンドンで開催されたブラインドテイスティングで、ドイツのピノ・ノワール7点がトップテン入りを果たした。
これは快挙のことで、ドイツでは優れた赤ワインの質の向上を見せており、 現在はすでに偉大なピノノワールを生産する国と賞賛され、世界でも注目されています。
統計でも現在赤ワインの約35%が生産されており、インターナショナルな品種も近年増加傾向にあります。
ワインの味も以前は甘口が多かったのですが現在70%
近くは辛口、半辛口のワインが造られるようになり、時代により様々なことが変化しております。将来ドイツワインがさらに注目される可能性はあると思います。

~ドイツワインは魅力にあふれている~

 

私自身現地に長い間住み、全地域を訪問し土壌や気候や品種そして造り手のぶどう栽培や醸造法により多種多様なワインが存在することを知り、 少なからずドイツワインの世界の奥深さを知ることができ、その魅力に取りつかれています。
ワインを通して多くの人との出会いや、色々な催しに参加したり、ワイナリーを訪れたり、 ワインを飲みながら友達と過ごしたり、又、レストランで料理とワインの至福の一時など、 私自らワインによって何倍も日々の生活が楽しくなったことを実感しています。 どうぞ皆様もこれからドイツワインの魅力に触れてみてください。

ドイツワインの魅力

2. ぶどう栽培に関する条件

栽培に関する条件ですが、年の平均気温、10度〜20度で、年間平均気温は

9度以上、開花時期が15度〜25度、生育時期が20度〜25度を必要としてい

ます。

 

成熟期は温度較差がある方が良いとされ、一年のうちでは暑い季節と寒い

季節が訪れる 「気温のサイクル」が望ましく、北半球では、北緯30度から

50度、 南半球では20度から45度の地域にほとんどのワイン生産地が含まれ

ています。

 

降雨量は最低400mm〜500mmが必要で500mmから800mm、

日照時間は1250時間〜1500時間が理想とされています。

ドイツワインの生産地域は、世界のぶどう栽培地の中でも北限に位置し、北緯47〜52度の範囲内にあります。北緯52度のブランデンブルク州や北緯55度のシルト島でもぶどう栽培が行われています。

ドイツには13のワイン生産地域があり、 現在白ワイン用のぶどう品種が約65%、赤ワイン用が約35%栽培されています。

ドイツワインの概略

3. ドイツワインの歴史

ドイツワインは約2000年の歴史があり、古代ローマ人が北方へ進出し、この地ドイツを征服してぶどう栽培が始まりました。

 

3世紀に入ると、ローマ皇帝プロブスによってワイン造りが意欲

的に奨励され、ワイン畑が拡大し、 ヨーロッパワイン文化の全盛となりました。

 

4〜6世紀に入ると民族移動が始まり、ぶどう栽培は衰微し、

ほとんどの地域で放棄されるようになりました。

 

8〜9世紀になると西ヨーロッパを征服統一したフランク王国の

カール大帝と修道院の力により、 再びワイン造りは発展し品質

も向上します。

15世紀の中頃ドイツのぶどう畑は、最大約30万ヘクタールを 記録するまでになりましたが、1618年からの30年戦争によりドイツ全土が老廃し、病害中も多発し、ぶどう栽培の火は消えました。

 

18世紀中頃には栽培地が選びぬかれるなど品質が向上した時期です。 フランス人シャプタールにより補糖技術が広められ、ドイツ人エクスレによる果汁比重計の発明などドイツワインの 将来にとって偉大な功績を残します。1870年にはぶどうの葉を侵す伝染病が広まり、 19世紀後半にヨーロッパ大陸に上陸したフィロキセラもドイツに広がり、ぶどう畑に二重の被害を与えました。

 

20世紀初めに一時ぶどう栽培地は回復しましたが、第二次世界大戦の影響もあり、戦後約5万ヘクタールと激減し、 現在は約10万2千へクタールまでとなりました。

 

近年ドイツワインは量から質の時代へと変化、またぶどうは昔と比べて完熟するようになり、糖度を重視した造りからテロワールを重視した造りに移行しています。

ドイツワインの歴史

4. ドイツワインの種類

★ 白ワイン(Weisswein,ヴァイスヴァイン)
緑色や薄紫色の白ぶどうの果汁のみを使用して造られています。

★ 赤ワイン(Rotwein,ロートヴァイン)

黒ぶどう果汁のみを使用して造られています。

 

★ロゼワイン(Rosewein,ロゼヴァイン,Weissherbst,ヴァイスヘルプスト)
一般的には赤ワインと同じく黒ぶどうを原料とし、醸しの途中で程よく色素を抽出し、

果もろみから液体部分を分離し、その後は白ワインと同じ工程で造ります(セニエ法)

ヴァイスヘルプストは特定の地域で造られたロゼワインで単一ぶどうから造られます。

等級はクヴァリテーツヴァイン以上。

 

★ロートリンク(Rotling,ロートリンク)
ロートリンクは赤ぶどうと白ぶどうを混ぜてプレスするか、それぞれのマイシェを

混ぜて造り上げられます。(混醸法)

 

★パールワイン(Perlwein,パールヴァイン)

パールワインは炭酸ガスを注入し、軽く発泡かかっているワイン。

 

※ゼクト(Sekt)はワイン法では別のカテゴリーに属しワインとしては扱われません。

 

(参考文献)
日本ソムリエ協会教本
社団法人日本ソムリエ協会

ドイツワインの種類

5. ドイツのぶどうの品種

★ ドイツワインの品種と産地

 

ドイツには多種多様なワインがあることは、品種からも語ることができます。現在約140種類もの品種がベルリンの役所に登録されています。(白ワイン用が100種強、赤ワイン用が約35種)下記の10品種を覚えればドイツの全栽培面積の約70%を占めている品種となり、レストランやワインショップにて、自分の好みのワインを選ぶのにとても役立ちます。

① リースリング種(Riesling)(白)
ドイツを代表する高級品種、 産地や醸造方法によって辛口から極甘口まで様々なワインのタイプとなります。ピーチ、リンゴ、 アプリコットなどの香りを思わせ、味わいは繊細で果実味が豊富で酸を多く含み、 果実味と酸味の絶妙なバランスが特徴で、長期熟成に耐えます。ドイツ全地域で栽培されており 、ファルツ地域、モーゼル地域やラインガウ地域で主に栽培されています。

 

② ミュラー・トゥルガウ種(Müller-Thurgau)(白)

スイスのトゥルガウ出身のミュラー博士によって、1882年ガイゼンハイムの ぶどう栽培醸造研究所で開発された品種です。早熟で果粒も大きく栽培しやすく、薬草やリンゴ、ナシ、 ほのかなマスカットなどの香りを思わせ、軽やかでフレッシュで程よいマイルドな酸味が特徴で比較的ライトなものが多いです。 別名、リヴァーナー種と言います。リースリングとマデレーヌ・ロワイヤルの交配品種です。

 

③ シルヴァーナー種(Silvaner)(白)

ドイツでは再び脚光を浴びてきている白ワイン用品種。原産地はルーマニア地方という説が有力です。 比較的ニュートラルな味わい、口当たりのやわらかい酸味、ラインヘッセン地域では優雅でフルーティなワインが、 フランケン地域は、ニュートラルな力強いワインが一般的に造られています。 ファルツ地域やラインヘッセン地域では高品質なワインが造られています。

 

④ グラウブルグンダー種(Grauburgunder)(白)
ピノ・グリ種 又は、ルーレンダー種とも言います。シュペートブルグンダー種の突然変異によって生まれた品種です。 色合いは黄金色を有し、ナッツ、マルメロ、マンゴなどの香りを思わせ、 酸味が比較的少なく、ボディがしっかりしており、しばしばバリック樽で熟成されます。 最近、栽培面積がどんどん増え、現在ドイツでは5000ヘクタール以上栽培されています。

 

⑤ ヴァイスブルグンダー(Weißburgunder)(白)

ピノ・ブラン種とも言います。ナシ、アプリコットの香りを思わせ、フレッシュな酸味でフルーティーな味わい。グラウブルグンダーと同じく栽培面積も増えている品種で、しばしばバリック樽で熟成されますが、品種の個性はより繊細でエレガントです。

 

⑥ ゲヴュルツトラミーナー種(Gewürztraminer)(白)
とても古い品種に上げられ、華やかな香り、ライチや白バラを思わせる香り、酸味が少なく、 ボディがしっかりしており、後味に少し苦味を感じます。アルコール分も高めです。 バーデン地域、ファルツ地域で多く栽培されています。バーデン地域のべライヒ、 オルテナウでクレーフナー(Clevner)とも呼ばれています。

 

⑦ シュペートブルグンダー種(Spätburgunder)(赤)

とても長い歴史を持つ品種です。別名ピノノワール。味わいが豊かで口当たりが大変なめらかで、 ややライトなタイプから力強いワインまで様々なタイプが造られています。バリック樽で熟成したワインの中には、 ドイツワインとは思えないような複雑な香りがあり力強さの中に繊細さを備えた高品質なワインが造られています。 バーデン地域で主に栽培されており、アール地域では重点的に栽培されています。

 

⑧ ドルンフェルダー種(Dornfelder)(赤)

色調も濃く、野イチゴのような香り、マイルドな味わいで、日常的なワインから樽熟成したボディのあるタイプのものまで幅広く造られています。早熟で、1979年124ヘクタールだった栽培面積から現在では約8000ヘクタールを超え、色づけ用のためにヘルフェンシュタイナーとヘロルドレーベで交配され、植付け面積を急激に増やした品種として上げられます。

 

⑨ ポルトギーザー種(Portgieser)(赤)

色調も明るく、アルコール度も低く、タンニンが少なくフルーティーでライトな口当たりの飲みやすいワインです。気軽に飲めるワインとして親しまています。色調は明るい赤で、イチゴや木イチゴの赤い果実の香りを思わせます。どの地域でも生産されています。
 

⑩ トロリンガー種(Trollinger)(赤)

この品種はヴュルテンベルク地域でほとんど栽培されています。 フレッシュでライトで飲みやすいワインです。早飲みタイプが大半を占めます。 チェリー、ストロベリーの香りを思わせます。イタリアのトレンティーノ地方の土着の品種でないかと言われ、同地ではベルナッチと呼ばれています。

ドイツのぶどうの品種

6. ドイツワインの13地域

ドイツワインの高級生産地域は13に分けられ、各生産地の気候や土壌の個性が現れています。 

① アール地域(Ahr)
この地域はライン川の支流アール川沿いの小さな地域で、北にはアール川を源とするアイフェル山系があります。通常なら赤ワイン造りには高緯度ですが、赤ワインを造るのに最適な環境を生みだしています。この地域は赤ワインが約90%を占め、近年では世界でも通用する高品質なバリック樽で熟成したシュペートブルグンダー種の赤ワインもよく造られています。

 

② ミッテルライン地域(Mittelrhein)
この地域は主にナーエ川が合流する地点のビンゲンの先から都市ボンの南約15キロのローランツエックまでライン川に沿って細長く広がる地域です。香り高いフレッシュで生き生きとしたリースリング種が主に造られています。ここはライン川両サイドの傾斜面にぶどう畑があり、左右に古城が見られ、ユネスコの遺産にも上げられています。 

③ ナーエ地域(Nahe)
ナーエ地域は "ドイツワインの試飲部屋" と言われるほど、多彩なぶどうが植えられています。ナーエ地域ではフルーティでポテンシャルのあるワインがしばしば造られています。リューデスハイム村の対岸ビンゲンの街から流れるナーエ川流域、その支流であるグラン、アルゼンツ川流域を含めた地域です。フンスリュックとゾーンヴァルトの山系により北風から守られ、土壌も様々で温暖な気候に恵まれています。リースリング種、ミュラー・トゥルガウ種、ドルンフェルダー種などが主に栽培されています。 

④モーゼル・ザール・ルーヴァー地域(Mosel-Saar-Ruwer)(→Mosel)
モーゼル地域は約2000年の歴史があり、古代ローマ人はここでワイン栽培を始めました。モーゼル、ザール、ルーヴァー川沿いの急斜面が主な栽培地で、リースリング種は世界的にも有名です。タイプは様々ですが繊細で豊かな香りのアルコール分の低めのワインがよく造られています。粘板岩土壌からのリースリング種はその魅力が発揮されています。モーゼル川上流ではエルプリング種が栽培され、ゼクト(発泡酒)が有名です。 

⑤ラインガウ地域(Rheingau)
ヴィースバーデンの東からロルヒハウゼンまでライン川に沿って約40キロが世界の名を馳せているラインガウ地域です。ほとんど南向き畑で、北風から守られるタウヌス山系と太陽の恩恵を十分受けるライン川があり、ワイン造りに良い条件が整っています。 黄土、粘板質微粒砂土、風化粘板岩などからの土壌はワインに力強さと個性的な芳香を与えています。リースリング種が約80%、シュペートブルグンダー種は約10%栽培されています。 

⑥ラインヘッセン地域(Rheinhessen)
ドイツ最大のワイン地域ラインヘッセンは、マインツ、ビンゲン、ヴォルムスの街を三角形で描いた広大なエリアで、「千の丘陵地」と呼ばれる無数の緩やかな丘に覆われている地域です。ドイツで約4本に1本がこの地域のワインです。栽培品種、土壌は多彩です。シルヴァーナー種は有名で繊細でフルーティなワインが一般的に造られています。 ドイツオーガニックワインの発祥地でもあります。

⑦ファルツ地域(Pfalz)
フランスのアルザス地域の国境に接したシュヴァイゲン村からボッケンハイム村までの南北に約80キロ世界最古のワイン街道があります。この地域はドイツで2番目に大きな地域です。この地域の西側にあるファルツの森によって悪天候から守られ、温暖な気候な為レモン、アーモンドなど南方系の植物も育ちます。白ではリースリング種、赤ではドルンフェルダー種が多く栽培されています。 

⑧ヘシィシェ・ベルクシュトラーセ地域(Hessische Bergstrasse)
この地域の東側にオーデンの森があり、東からの冷たい風からぶどう畑を守られ、北イタリアと同じ時期に春が訪れることからぶどう栽培に向いたエリアです。リースリング種が多く栽培されており、ドイツで最も小さなワイン栽培地の一つですが、1971年からワインの地域として独立しています。ここは小さな醸造所がほとんどで副業もよく見られます。 

⑨フランケン地域(Franken)
マイン川沿いの丘陵が主にフランケン地域でボックスボイテルという特徴あるボトルが有名です。又、シルヴァーナー種は有名で貝殻石灰質土壌から力強いフルーティなワインが一般的に造られています。赤色の雑色砂岩土壌からは力強く繊細な赤ワインが出来ます。ミュラー・トゥルガウ種が一番この地域では最も多く栽培されています。 

⑩ヴュルテンブルク地域(Wuerttemberg)
ネッカー川とその支流の両岸の斜面が主にこの地域に属し、ドイツの中で一番ドイツワインの消費量が多い地域です。この地域はドイツ最大の赤ワインの地域で、ライトなタイプのトロリンガー種はここでほとんど栽培されています。他赤ワイン用の主な品種ですとシュヴァルツリースリング種、レンベルガー種、シュペートブルグンダー種が上げられます。 

⑪バーデン地域(Baden)
ここはタウバー川沿いの畑とハイデルベルクの北20キロのラウデンバッハ村から南のボーデン湖まで細長く続いているドイツで一番南に位置する地域です。温暖な気候に恵まれ、南のバーデン地域のエリアはフランスのシャンパーニュ地域と同じ気候のエリアに属します。タイプは様々ですが、カイザーシュトゥ-ルからはグラウブルグンダー種やヴァイサーブルグンダー種のこくのある白ワインや丸みのある力強いシュペートブルグンダー種の赤ワインが生産されています。ボーデン湖付近にもバーデン地域がありロゼワインが有名です。 

⑫ザクセン地域(Sachsen)
州都ドレスデン、又、陶器で有名なマイセンもこの地域に属し、ドイツで一番小さく東に位置するワインの地域になります。エルベ川近郊に主にワイン畑はあります。ザクセンワインは主に繊細でフルーティな酸味のある辛口ワインが特徴です。この地域でしか造られていないライトでスパイシィなゴールドリースリング種のワインも有名です。 

⑬ザーレ・ウンシュトルート地域(Saale-Unstrut)
エルベ川の支流やザーレ川とウンストルート川流域にワイン畑が主にあり、ドイツで最北のワインの地域です。ミュラー・トゥルガウ種が一番多く栽培されています。土壌は貝殻を含んだ石灰質と砂岩からなり果実味豊かな辛口ワインが主に生産されています。 

★品種の統計は(Deutscher Weininstitut in Mainz)ドイツマインツ広報センター2007年の資料を参照。

 

(参考文献)
Seminar Handbuch Deutsche Weine Herausgeber: Deutsches Weininstitut GmbH,Mainz
ドイツワイン基金のホームページ
日本ソムリエ協会教本 社団法人日本ソムリエ協会
Wein Andre Domine konemann Verlagsgesellschaft GmbH

ドイツワインの産地

7. ドイツワインの格付け

★ ドイツワイン法

◎ ドイツワインの格付け

1971年の新ワイン法でワインの性格や等級の格付けが義務付けられました。
ドイツワインはその品質によって4つのランクに分けられます。
1、ドイチァー・ターフェルヴァイン(Deutscher Tafelwein)
2、ドイチァー・ラントヴァイン(Deutscher Landwein)
3、生産地限定上級ワイン(Qualitaetswein、クヴァリテーツヴァイン)
4、生産地限定格付け上級ワイン(Pradikaetswein、プレディカーツヴァイン)
 
*3と4の格付け名称が2007年8月1日から簡素化されました。

1はテーブルクラスの日常ワインで2は地酒的ワインで、ドイツには多く存在せず、主には3と4のクラス。13地域の限定された上級ワインで、公的機関による3段階の厳しい検査をクリアしたワインで品質は保証されています。4のPradikatswein(プレデイカーツヴァイン)は生産地限定格付け上級ワインの中、収穫方法やワインの糖度により、6つの格付けに分かれます。

①カビネット(Kabinett)

上級ワインの中で最も糖度が低いものが、このカビネットです。ぶどうの収穫時期は(9月頃)、 毎年公的機関によって決められます。比較的低アルコールでライトなワインが多く、食事とよく合わせて 飲まれます。 

②シュペートレーゼ (Spaetlese)

シューペートレーゼは"遅摘みの収穫"の意味。一般的に甘口から辛口までカビネットより味の奥行きがあります。 ぶどうの収穫時期が、通常の収穫期が終わって、少なくとも一週間後が通例です。 

③アウスレーゼ (Auslese)

アウスレーゼは"選りすぐりの収穫"の意味。ぶどうの果実は十分に熟したものが求められます。 甘口が多く、よくデザートワインとして飲まれています。中には辛口ワインも造られています。 

④ベーレンアウスレーゼ (Beerenauslese)

ベーレンアウスレーゼは"粒選りすぐりの収穫"の意味。 貴腐が付着したぶどうか、過熟状態のぶどうにより 造られ、極甘口ワインに仕上がります。 

⑤アイスワイン(Eiswein)

厳冬日の朝方、マイナス7度以下の気温で、畑で自然に木になったままの凍結したぶどうを収穫して、 凍結した状態で搾汁した果汁によって造られます。氷結したぶどうから造られることにより酸味と甘味 とアロマのエッセンスが得られます。ワインにもよりますがベーレンアウスレーゼと同じぐらいの糖度の 極甘口ワインです。 

⑥トロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese)

貴腐菌の付着したぶどうの粒が、まれな気象条件により水分が奪われて、干しぶどうのようになったものから 造られます。蜜のように甘く、上級ワインの中では通常一番糖度が高いワインです。 

◎Classic(クラシック)とSelection(セレクション) 

2000年ヴィンテージから上級品質の辛口ワインに新たな品質等級が加わりました。
クラシックとセレクションが生まれ、クラシックよりセレクションの方が規定が厳しくより質が高くなります。 

◎Grosses Gewaechs(グローセス・ゲヴェクス(略してGG))(ラインガウ地域のみ \Erstes Gewaechs(エアステス・ゲヴェクス))

偉大な作物と言う意味をもつグローセス・ゲヴェクスの特徴は、最高レベルのぶどう畑で一流の栽培者により 手摘み収穫されたぶどうを生産し、フランスのグラン・クリューに相当します。 

◎ドイツの味の表示

ラベルには義務付けられていませんが、主に4つの味わいに分けられます。 特に辛口と半辛口の場合は親切にラベルに表記されていることが多々あります。

辛口(trocken),半辛口(halbtrocken),やや甘口(lieblich),甘口 (suess)

ドイツワインの格付け

8. ドイツワインの楽しみ方

★ワインを適温で飲む

通常、ジュースは冷たくして飲みたい、コーヒーは温かくして飲みたいのと同じように ワインをおいしく飲むのに大切な要因の一つに温度があります。

下記に理想的な供出温度を書いておきますので参考にしてみてください。

軽いタイプのものは低めの温度で ボディのあるタイプは温度を高めで楽しむとそのワインの魅力が引き立ちます。
また 同じワインでも夏場は暑いのでやや低めに冬はやや高めにして季節により温度を変えることもおすすめします。 

・スパークリングワイン(Sekt ,Schaumwein) 8~10度
・辛口白ワイン 軽いタイプ(Weiswein, jung, leicht) 9~11 度
・辛口白ワイン ボディのあるタイプ(Weiswein ,reif ,gehaltvoll)11~13 度
・ロゼワイン(Weissherbst ,Rose, Rotling) 9~13 度
・赤ワイン 軽いタイプ (Rotwein, jung, leicht) 14~16度
・赤ワイン ボディのあるタイプ(Rotwein, gehaltvoll) 16度~18度
・赤ワインの熟成したとてもボディのあるタイプ
(Rotwein, sehr gerbstoffbetont, reif) 18度~20度

★ワインの保存方法

ワインをできるだけ長い間良質に保つには保存方法は大切です。

ワインに理想的な保存は温度変化がなく(温度は10度から高くて15度まで、 保存温度が10度上がることにより熟成もしくは酸化の度合いがおおよそ2倍の早さで進行すると言われております。
一定の温度で保つ)暗くて光があまり当たらず、湿度は70%ぐらい、においの強いものの近くは避け、 コルクの場合はワインを横に寝かせます。

日本での保存でしたら床下収納や押入れがおすすめできます。 ワインセラーがあれば理想ですが、あと新聞紙などで包んで保存することをおすすめします。 

(参考文献)
Seminar Handbuch Deutsche Weine Herausgeber: Deutsches Weininstitut GmbH,Mainz
ドイツワイン基金のホームページ
日本ソムリエ協会教本 社団法人日本ソムリエ協会
Wein Andre Domine konemann Verlagsgesellschaft GmbH

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